南の島のたったひとりの会計士

タイトルに惹かれて手にとりました。「南の島のたったひとりの会計士」屋宮久光著

この南の島というのは、奄美大島のことです。奄美大島のたったひとりの公認会計士、屋宮久光さんの本です。

 

kaikeisi

 

奄美大島で生まれ中学時代まで過ごし、高校は鹿児島県の進学高校に進学、大学は上京し浪人のすえ慶應大学に進学、公認会計士を取得します。就職は九州に戻りますが、高校から生活の拠点は奄美大島ではなかったのです。

公認会計士の仕事は、主に上場企業の監査業務。奄美大島に上場企業はありません。どうして地元に帰ろうと思ったのでしょうか。

 

郷土のために死力をつくさねば

朝日監査法人の福岡事務所で働き始めて1年半後に、お父様が亡くなられたときのことを書かれています。

『父が亡くなり、母が残されたことと、故郷の苦境がまったく同じ響きを持って心に迫るようになってきたのです。父、母、奄美の自然、人々、そして社会。それらはすべて私を育んでくれたものです。

新聞などの伝える奄美経済の情報は、島々の行き詰まりを伝えるものばかりでした。産業は振るわず、人口は減り続け、主力産業が育たず、歳入は財政に頼りきりです。

今こそ、公認会計士として出来ることがあるはずだ。父が眠る奄美、母の残る奄美、そして私の根っこである奄美が苦しんでいる。母なるシマへ戻り、郷土のために死力を尽くさなくては、という思いが湧き起こってきたのです。

奄美へ戻って経済的にやっていけるのかどうか確信はありませんでしたし、実行可能性を厳密に調べたわけでもありません。

それでも、「奄美へ戻るんだ」という気持ちだけは日に日に大きくなってきたのです』

自分と重ねて読みました。

家族、福島の土地、自然、そして社会。すべて僕を育んでくれたものです。

福島でIT普及、底上げをしていこう、福島のことを全国の人たちに知ってもらえるフィールドを作っていこう。という思いがありました。

しかし、僕も福島へ戻って経済的にやっていけるかどうか確信はなかったのです。でも、福島に帰るという気持ちは大きかった。

 

一つずつ変えていけばいいんだ

『「公私のお金を分けること」「帳簿をつけること」「領収書を保管しておくこと」

こうしたことを、口を酸っぱくして繰り返していけばいい。

確かに会計のレベルとしては、ほとんど底辺に近いけれど、逆にそれはやりがいにもなる。

私が一つずつ変えていけばいいんだ。それでこそ奄美に帰った意味がある。私はそう思うことにしました。』

奄美に戻って、会計がずさんだったことに驚いたとのことです。公私のお金を分けていない、帳簿をつけていない、領収書がない。というのが多かったようです。基本的なことを、ずっと自分が言い続けることで、少しずつ変わっていく。変えていけばいいのだと決意した内容です。

僕が一つずつ変えられることは何だろうか。日頃の活動から考えられることは、ブログなどの記事、HPの最新情報を継続して更新してもらうことや、その仕組づくりをすること。「もっと具体的に、こんな内容で」と言えることはたくさんあるのだが、やはり一つずつと考えたときには、まず更新する仕組化づくりが、一つずつ変えていけばいいと思うようにしています。

 

 国とかに頼る前に自分たちでできることから始めるべき

お客様から宿泊施設の話を相談されたとき、国に頼るという話になったようです。そこで屋宮さんは、

「国とかに頼る前に自分たちでできることから始めるべきだと思うんだ」と答えています。

先日書いた記事、『「天のつぶ」を自分達で発信していこう!katofarmの加藤晃司氏』の中「自分達でやっていこう!やっていけってことだよ!」という話と近い。とてもタイムリーなので、ぐさっと刺さりました。

 

0から1への距離は、1から1000への距離より大きい

『「0から1への距離は、1から1000への距離より大きい」というユダヤの格言があります。

わたしのチャレンジもあるいは奄美の経営者の人たちに会計の重要さを知ってもらうことも、0から1への跳躍ほどの小さなことでしかありません。

しかし、それがいずれ1000になるための、奄美が活性化するための、小さな一歩、そして大切な一歩なのです。』

このユダヤの格言、知りませんでした。そして、その通りだなと思います。

0の段階で、やろうと思っているんだよねー。とか、こうしたら良いのにねー。っていう人がいます。この人は0で、1にもならなければもちろん1000にもなりません。この話をした人に対して、「どうしてやらないの?」や「どうやったら出来そう?」という質問をします。

僕の0を1にして、いずれ1000にするため、福島が活性化するための小さな一歩が、このような質問をして、1にするためのフィールドを一緒に作り上げていくことだと思っています。

僕はよく言うことがあります。「やらなければ1にならないよ」と。やってみて0だったら、なぜ0だったか考えれば良いと思うよ。と。

 

奄美大島と福島、南の島と東北、と場所は違います。

公認会計士とITコンサルタント、仕事も違います。

郷土のために活動する、郷土が好きで生活する。

これは同じこと。

東京で生活していて、30前後で地元にもどったということの共通点もあり、勝手に近い存在で読み進めていました。

地元で独立した方、またこれから地元に戻って独立しようと考えている方にはぜひ読んでもらいたいです。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です