2009年の大河ドラマ「天地人」の著者・火坂雅志さんの新書「名称の品格」を読みました。
歴史小説家を目指したのは、早稲田大学在学中に読んだ「燃えよ剣」
「燃えよ剣」は、著者が司馬遼太郎さんで、有名な著書の一つです。
新撰組の副長として剣に生き、剣に死んだ男である「土方歳三」の物語です。僕も20代後半に読んでどっぷりはまった本です。
火坂さんはこの本を読んで「歴史小説家になる!」と決めたそうです。
「ブレーン」から時代を見るというやり方が、私の小説のひとつのスタイル
「全宗」豊臣秀吉の侍医や「沢彦」織田信長の教育者であり参謀、の物語を書いています。
ここに「天地人」を執筆することにつながっていますね。
信長の「天下布武」という言葉は沢彦の撰である。もともとは、「世の中をあまねく武力で制する」という意味ではなかった。
出典は「春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)」という中国の書物にあって、意味は「七徳の武」、すなわち、「禁暴(暴力を禁ずる)」「しゅう兵(兵をおさめる)」「保大(大を保つ)」「定功(功を定める)」「安民(民を安んじる)」「和衆(衆を和らげる)」「豊財(財を豊かにする)」という七つの徳を備えたものが天下を治める、ということでした。
沢彦は信長に、人徳を豊かに備えた政治を行えと、教え諭していたのです。しかし、面倒な理屈を嫌う信長は、それを単純化して、自分の都合のいい方向に利用してしまいました。
恥ずかしながら、「沢彦」という存在は知りませんでした。火坂さんも、知っている人は「歴史通」と言っていいと書かれています。
「愛」の文字の共通点
火坂さんは中学時代で野球部に所属していて、野球帽子の裏に「愛」という文字を書いていたそうです。なぜ、書いたのかは覚えていないという。
出版社に入社して、歴史小説家を目指しながら働いているときに「愛」という文字に再会します。それが、直江兼続の「愛」です。
・「愛」つながり
・「兜」つながり
・「同郷人」つながり
と、3つつながりがあるということに気付き、この人のことを書かなければならないと考えたそうです。(火坂さんも新潟生まれ)
そして、「天地人」が完成するのがこの時から20年後になります。
火坂さんの書くことになるストーリーを読んで、「沢彦」もぜひ読みたくなった。
尊敬する人である「直江兼続」公の物語を書いた火坂さんのストーリーを読むことができて、ますます興味をもち、そして、「天地人」という物語を世に出してくれたことと私に届けてくれたことに、感謝いたします。
信長の教育者であり参謀であった「沢彦」の本をぜひ読みたいと思います。