(本)農で起業する! 杉山経昌

 

著者の杉山経昌(すぎやまつねまさ)さんは、バリバリの外資系サラリーマンから専業農家になった方です。サラリーマン時代のビジネス経験を十分に生かした専業農家。

読書メモです。

 

危機管理費

これならいけると自信を持ってお百姓さんになるための予算を組んだのだ。予算は農地の購入費、二年分の生活費、一年分の農業経費、農機具の購入費、予備費、危機管理費と六つの予算を組んだ。

危機管理費を組むところが外資系でマネジメントしていたゆえんじゃないかと思うのだが、日本の会社は危機管理費みたいな予算は組まない。。政府でも危機管理という言葉を言い出したのはつい最近のことで、10何年か前にはそんなことは言わなかった。

危機管理とは何かというと、私は百姓のことはまだよくわからないわけで、ハウスを持っていて台風がやって来てある日突然潰れるかもしれない。それで人生終わりになるかもしれない。それでは困るので、予測にないことが起こっても、なにクソーっと起き上がってきてまた走り出さなきゃならない。そのためにはちょっぴり資金がいるだろう。というようなことで予算に組んだのだ。

 

顧客の満足を生むSOP

SOPとは、スタンダード・オペレーティング・プロシージャー。日本語で標準作業手順というもの。

こういう場合はこうしなさい。箱詰めはこういうふうなものをこういうふうに詰めて、余裕はこれだけ持たせなければなりませんよとか、いろんな基準を決める。サービスの最低の基準を作るわけだ、キチンと。

お父さんに会うとサービスが超いい。奥さんに会うと超ケチだとか。それではいけない。信用をなくすから。誰が出ても最低限度必要なサービスは維持する。マニュアルを作ることによって、最小限度の基準を満足させる。

 

PERT(Program Ebaluation Review Technique)

生産工程をばらばらの作業要素に分解し、各要素作業を合理化して最短の作業方法で標準時間を決め、その各要素作業を再構成することにより工程管理と時間短縮、出荷までの日程管理をしようというもの。

 

天国から極楽をめざす

あるとき、野菜の先生が移住者が集まる芋煮会でぽつりと言ったことがある。「田舎は都会に比べたら不便なことも多いし、古い習慣も残っていて時代遅れなことも多いだろう。でも空気が綺麗で水が美味しくて人が優しいなどよいところもたくさんあるでしょう。そんないろいろな点をみな足し合わせて考えてみてくれないか?。

これを言われて我々ははっと気がついた。それは比べるべくもない。満員電車の通勤地獄ひとつを取っても、街の喧騒と車の渋滞、排気ガスによる健康障害、緑のまったくないコンクリートでかこまれたよどんだ空間。そのどれひとつを取っても、ここの田園生活は天国だよ。空が透き通っていて、夜は星が降るような快適な空間にいて我々はそれ以上の何を望んだんだろう?そうだ、きっと天国にいながら極楽に行きたいと言っていたんだ。天国が上だか極楽が上だか知らないが、所詮世の中にここ以上の場所と生活はないのに、ないものねだりをしていただけだろう。何も要求することのない環境なんて無味乾燥な砂漠のようなところだろう。数少ない時代遅れなどは生活に潤いを与える貴重な刺激なのかもしれない。そう、「満足を知らない人は永久に幸せにはなれない」という言葉を思い出そう。

 

こちらの本の中に、売上や売上原価などの数値データが公表されている。外資系ビジネスマンの数値化してマーケティングして実行していき成功した自信があるので公表できるのだろう。また、数値化をする重要性をこれからの新規就農者や現在の就農者を応援しているようにも見える。

最後に、奥さんのあとがきが書かれている。農業が初めての経験で奥さんも都会育ちで、「ペンより重いものを持ったことがない者が鍬を持ち鎌を使い、土まみれになって働くのであるから最初の1年は無我夢中であった。」、この文から始まり大変だったろうなぁと感じさせるが、沢山の先輩就農の方のご協力と援助で乗り越えてきたと感謝の意がのべられている。

エリートサラリーマンから独立して百姓になるとなれば、妻として付いていくかどうするか考えるところだと思う。付いていって、一緒に農家となってバックアップしている。著者に自信とやっていけると感じさせる魅力があるから付いていくのだろう。僕もそのような人が付いてきてくれてバックアップしてもらえるような魅力的で、実行力のある人間になりたいな。

 

 

 

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