希望の地図 重松清・著

重松清さんの著書、希望の地図 3.11から始まる物語 を読みました。

希望の地図 重松清・著

 

中学受験に失敗して、引きこもりになってしまった中学1年生とその父親の友人であるフリーライターの記者が、東日本大震災の半年後、2011年9月から被災地に2人で行く物語です。

「希望」とはなんなのか?ひとつの文が僕にささりました。

『夢は無意識のうちに持つものだけど、希望は、厳しい状況の中で、苦しみながらも持つものなんですよ』

この文から、どんどん物語に引きこもりになってしまった中学生と同じ気分で記者と被災地に向かう気持ちになり、入って行きました。

 

物語の中でいろんな被災地が出てきます。もちろん福島県も出てきます。

いわき市のアクアマリンふくしま、スパリゾートハワイアンズも出てきます。

ハワイアンズは、常磐ハワイアンセンター時代であった小学生の頃から定期的に遊びに行ったテーマパークであり、フラガールが公開されて社会人になってから、夜に行われるポリネシアンショーを見ると涙していた場所。本を読みながら目が熱くなった。特に熱くなったところ、悔しさとフラガールに感動した個所を紹介します。

 

『スパリゾートハワイアンズ』の前身、『常磐ハワイアンセンター』は、石炭から石油へというエネルギー政策の転換によって生まれた。閉山の危機にあった炭鉱にとっては、窮余(きゅうよ)の一策がみごとに奏功したわけだ。しかし、それから約半世紀をへて、今度は原子力が『スパリゾートハワイアンズ』を苦境に立たせている。国の政策に翻弄され、ときに手ひどい目に遭わされて、産み出されたエネルギーの恩恵を受けるのは地元ではなく、遠く離れた大都市・・・。

それでも、フラガールたちは明るく笑う。悲しさや悔しさを笑顔に変えて、優雅に踊る。

 

震災後に「全国きずなキャラバン」として被災地や全国を回っていた映像が思い出されて、涙が出てきました。震災の時に東京にいた僕は、恩恵を受けていた側なのです。。。

 

記者とともに被災地をまわっていく中学生は、「自分がやるべきことはなんなのか?」を、少しずつ感じ始めていきます。

なにか期待にこたえようとしてこたえられない時には、「すみません」と言っていた中学生は、質問に対してわからないことは「わからない」と、ハッキリと言うようになっていきます。この中学生が成長していくように、読んでいる僕も成長していっているように感じる物語です。

そして、まだ訪問していない、自分の目で見ていない被災地に、まず行かなければならないと思いました。

2年経って、遅いかもしれないけど、東京から東北に戻ってきた僕にとってやらなければならないことの一つに、「伝える」ということがあると思う。

近々、宮城県女川に行こうと考えている。

 

 

 

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